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2022/05/01 やめられない性格 (ぱぱさん)

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 2022年3月3日朝日新聞(夕刊)の記事からはじめます。「才能とは能力ではない。やめられない性格のことだ」まずは見出しから目を惹きます。日本語学者の金田一秀穂先生、かっこいいですねー。  先生曰く、「研究活動でも、芸術でも、スポーツでも、一つのことを一心に続ける人たちに対して、周囲の人々は尊敬のまなざしで見つめる。『あの人は、決してあきらめない。持久力がある。不断の努力だ。素晴らしい...。』でも、そうじゃないんですよ。やめたくても、やめられないの。」、「今から5年くらい前、米国の心理学者ダックワース氏の著書において、GRIT(情熱と忍耐・やりぬく力)、これが成功の秘訣だと分析した。でも、本当はそんな結構なものじゃない。単にやめられない。」、「努力じゃない、好きだからやる。周りの人にも恵まれて、気がついたら成功していたというだけですよ。」  子どもは、ある意味、「やめられない天才」ですよね。例えば...。毎朝、登園すると広告紙を指で小さくちぎって、空気清浄機の上向きの吹き出し口の上で手を離すお子さんがいます。広告紙は、空気清浄機の吹き出す力で宙を舞い、毎日ご満悦のご様子です。次に、3階の階段の高いところで広告紙を放しても、下の2階の階段へひらひらと美しく舞うことを発見して、やめられない日々が続いています。この遊びは、2022年1月頃から3人組で始まり、その内の1人は3月に転園していったので、4月現在、2人組で楽しんでいます。かれこれ4か月は続いていることになります。「やめられない天才、ここに在り。」  この天才さんは、「ちぎって離す」に特化しているので、後片付けにはまるで関心がありません。そんなある日、半ば強制的ではありましたが、スタッフが介入して、初めて自分たちの力で遊んだ残骸を片づけていただきました...。が、これは、「好きなことをやってれば誰もが天才なのに、その芽を摘み取ることにつながってしまうのではないか」と思ってしまったり、「ちょっとでもいいから、たまには片付けて欲しい」と願ってみたり・・・  というか、子どもたちは、押し並べて片づけには関心が無いようです。それは、保育園の片づけの時間と、自由遊びが充実してクライマックスを迎える時間が重なってしまうからに他ならないのでしょう。それだけ楽しいということですね。 ~ 片づけなんか忘れてしまうほど、遊びがやめら

2022/04/06(水) 科学者と保育 (ぱぱさん)

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 地球の内部構造を解明する研究の第一線で活躍していたご夫婦が、なんと2020年に埼玉県横瀬町で保育士に転身し、保育施設をつくったという記事が、朝日新聞に載っていました。  施設名は「森のようちえん・タテノイト」、お二人の名前は舘野繁彦さんと春香さん。ともに東京工業大学で博士号を取り、研究機関に所属し、画期的な発見をし、米科学誌「サイエンス」に論文が掲載されたこともあるそうです。  そんな日々が変わるきっかけは、2014年に生まれた長女さんを保育園に預けたことでした。繁彦さんは、園での子どもたちを見て、皆同じ遊びをしているのが、心に引っかかったのでした。そんなある日、家族の会話で、お子さんから「先生が言ったから」という言葉が出てきて、「子どもたちは、先生の言う通りに過ごし、意見が言いにくいのかもしれない。」、「このままでは、上の人が言うことに疑問を持たない、社会に無関心な人になってしまいそうだ」と感じたのでした。お子さんが3歳になり、登園を嫌がり始めたことも重なり、繁彦さんは自分で保育園を開こうと決めました。「他人との比較ではなく、自分の情熱に忠実な子ども、自己肯定感を持った子どもを育てたい。」  一方、春香さんも、「社会に関心がある人を育てることが大切」、「『好きな事を認めてくれる』と感じられた子どもは、自信を持って興味を深めていける」、「子どもが、自分で考えて発言できる、そんな子どもたちの姿勢を保育者が認めるようになればいい」と、とても大切なことをおっしゃっています。  一見、科学分野で順調なキャリアを重ねていったエリートが、「保育」という全く異なる分野に参入した話のように見えますが、実は共通項があったのですね。それは、「社会に関心があり、自己肯定感を持ち、自分で考えて発言、実行する」、そういう科学者でありたいということと、そういう子ども(人間)を育てたいという部分で、一致したということです。どちらも尊いお仕事です。  さくらそう保育園は、大人の言う通りに動くことを良しとする保育園ではなく、「皆で同じ遊びをしないのもいい」、「子どもが自ら考えて実行できる」、そんな保育園でありたいなあと思います。