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2025/05/14(水) 小学校1・2年生の通知表の廃止 by ぱぱ

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2025年5月13日(火)の朝日新聞朝刊の天声人語を紹介します。      岐阜県美濃市の小学校では、1年生と2年生の通知表が、廃止されることになったそうです。子どもの学習状況や生活の様子を評価する通知表ですが、それがあることによって、劣等感を感じて自信や意欲を失ったり、仲間関係に序列ができたりしないようにすることが、大きな目的のようです。この記事によると、5年前に、神奈川県の小学校でも、同様の取り組みがあったことが記されています。  東海テレビは、その取材で、「特に、保育園や幼稚園から小学校に上がったばかりの子どもたちに、勉強への苦手意識や劣等感を抱かせないようにする狙いがある。」と述べています。また、東海テレビは、1・2年生の保護者にインタビューした結果を、「1・2年生のうちは、元気に学校に行ってくれれば、それでいいと思う。また、一生懸命やっているのであれば、それが、その子のやり方なので、成績で評価してもらわなくても、それで十分だと思う。」としています。勿論、賛否両論あるようです。  注目したいのは、この取り組みが、あくまでも、小学校1・2年生に限定したものであるということでしょう。保育園や幼稚園で、のびのびと育ってきた子どもが、小学校1年生になったとたんに、勉強をさせられているような感覚になり、さらに、そこに評価が加わることで、劣等感や優越感を抱くことになり、序列化につながってしまいます。そうなると、学校への不適合を起こす子どもたちも、出てきてしまいます。低学年については、「通知表で評価することに、そこまでの意味は、ないのではないか?」と問う取り組みなんだと思います。  保育園や幼稚園の年長児と、小学校1・2年生の児童との、かけ橋の問題とも言えますね。私は、かつて、「年長児は、できるだけ早く、1年生化することが望ましい」という空気を感じていました。でも、今は、「小学校1・2年生の児童を、年長児に合わせていく」という方向で考えてくれているようです。これには、私も、大賛成です。私は、「このような取り組みが、全国で行われるようになればいいな」と思っています。  「のんびりいこうよ」  

2025/04/22(火) 不合理なことには距離を

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 毎度で恐縮ですが、2025年3月12日の朝日新聞朝刊から、ご紹介します。  我が子が、はじめて言葉を話した日から、はじめて嘘をついた日までの記録。精神科医、翻訳家の阿部 大樹さんの新著「now loading」(作品社)は、そんな区切りを設けて、つづられた育児日記です。 「言葉で、やりとりが、できるようになると、書き記すこともできる」とスタート地点を決め、「真実だけではなく、うそについても、言葉で語れるようになった時、子どもは、うそのある世界、すなわち、大人と同じ世界に入って、生き始める」、「そこを終わりとしてみよう。」と思ったそうです。さすが精神科医、この切り取り方は、とてもシャープですね。阿部さんは、「うそのある世界は、大人の世界」と定義付けました。確かに、私たち大人は、人を利用したり、虚勢を張ったり、秘密保持を目的としたりして、うそをつきます。また時には、人に対して、相手を傷つけないように、おもんぱかる配慮の結果として、うそをつきます。結局、あとでばれて、気まずい思いを体験するのですが…。「はじめてのうそは、いつ?」というのは、とても興味深いテーマだと思います。  阿部さんのお子さんが、2023年1月29日、1歳3カ月で、初めてしゃべったのは、「バイバイ」という言葉でした。そして、同じ年の12月20日、おもちゃを探していたお子さんが、実際にはあるのに、「なかった!」と、うそをついたのです。それは、2歳2カ月になった時でした。「語彙が増えて、文法を習得してから、うそをつく」と思っていたので、「早いなあ。」と感じたそうです。  その11か月の間に、「ある」より「ない」を、「わかる」より「わからない」を先に覚え、何かにつけて「やだ」と拒否するようになったのです。阿部さんは、「大きくなったら、不合理なことには距離を置ける、自由な人になってほしい」と考え、物事を否定する我が子を肯定し、エールを送っています。  幸いなことに、さくらそう保育園の園児さんは、みんな「やだ」の天才なので、「不合理なことには距離を置く、自由な人」だと断言できます。保育士さんが、「給食だから、お部屋に入ってください。」と言っても、軽く一蹴して、「やだぁ!」 でも、私が、「じゃあ、○○ちゃんの給食、ぱぱさんが食べちゃおうかなあ。」と言うと、「やだ~。」と言いながら、お部屋に走っていきます。...

2025/03/13(木) すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる by ぱぱ

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  朝日新聞2025年3月8日(土)の夕刊から切り抜きました。「大学では、どんな学部が人気なのか」という疑問に対して、「『就職に有利にはたらき、すぐに役に立つ学部』を選ぶ傾向にある」と筆者は分析しています。面白かったのは、文系でも、学部や学科名に「情報○○」と付くと、受験生が集まりやすい傾向にあるとのこと。うまいこと言いますね。しかし、年を重ねると、当時は就職に役に立たないと思っていた、哲学や心理学、文学などを学ぶことに、意義を感じるとの記事でした。  同じ日のTBSラジオの番組で、話題になっていたことです。ある役者が、言っていました。「役者は、台本を記憶する能力が、極めて高いのです。役になりきるために、どんなに難しい専門用語も、すぐに記憶できます。しかし、演じ終えると、すぐに忘れてしまうのです。不思議なくらい、忘れるのが早い。そして、また次のお役の台本を覚えるのです。」 「すぐに役に立つ」ことのために、私たちは、日々、努力奮闘しているように感じます。日々の保育はさておき、その記録も、役所や業者とのやりとりも、監査で求められる書類の作成も、言わば「すぐに役に立つ」ことです。この作業のために、私たちは、どれだけの時間と労力を注いでいることでしょう。ところが、血と汗と涙の結晶である、これらの書類も、所定の期間が過ぎると、逆に、破棄しなければならないことになっているのです。「すぐに役に立たなくなる」のですね。 「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」、冒頭の朝日新聞記者の指摘は、「けだし名言ではないか!」と感動を覚えました。  話変わって、当園が掲げている、「自由保育の中で、主体性と思いやりを育む」という保育方針は、「すぐに役に立つことは、すぐに役に立たなくなる」の真逆だと思います。主体性と思いやりは、一朝一夕で獲得できるものではありません。日々の活動の中で、トライ&エラーを繰り返しながら、保育士の援助や、お友だちとのやり取りを通して、少しずつ、少しずつ、お子さまの中にしみこんでいくものです。もちろん、それだけでは成就しません。ご家庭や地域の力だって、欠かせないのです。  大人は、年を重ねると、当時は就職に役に立たないと思っていた、哲学や心理学、文学などを学ぶことに、意義を感じるということですが、保育園では、遊びの中で、人間の営みの根底にある、哲学や心理学...

2025/02/14(金) たくみな話術 by ぱぱ

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  ある日の夕方、2階さん(2~3歳児クラス)のFちゃんがやって来て、 「ぶらんぶらんしたい。」 「ちょっとだけやって」  私(ぱぱさん)の、両手の人差し指を鉄棒に見立てて、その人差し指にぶら下がってみたいと言うのです。私は、「Fちゃん、重くて、こりゃ大変」と思いましたが、「ちょっとだけやって」の言い方が、本当に申し訳なさそうなニュアンスだったので、「そこまで言うなら」と私は思い、「いいよ」  10秒間くらいでしょうか、両手の人差し指にかかるFちゃんの全体重を、歯を食いしばって支えました。  10秒後、Fちゃんを降ろすと、Fちゃんは、 「もういっかいやって~」  その言葉には、「とっても楽しかったです。もしも許されるのなら、もう一度だけ体験させていただけませんか。無理ならかまいません。」といった思いが宿っているように、思われましたので、私は「いいよ」と、今度は5秒で限界となってしまいましたが、彼女の思いを叶えて差し上げました。  するとFちゃん、今度は畳みかける口調になって、 「ず~っとやって」  最後の言葉は、「しめしめ」感100%でした。私は彼女に一本取られたのでした。  言い方のニュアンスは抜きにしたとしても、 「ちょっとだけやって」 「もういっかいやって~」 「ず~っとやって」  何て無駄のない、巧妙な言い回しなのでしょうか! まるでコピーライターが頭をひねって、何度も何度も推こうして、こしらえたキャッチフレーズのようです。  最初から、「たくさん、やってもらいたい」と言うと、断られることは分かっているので、そのことは隠しつつ、最初は少しだけ、仮に許されたのなら、二度目はもう少し風穴を開けて、それも突破出来たら、三度目は本心を! 「秘技、要求三段活用だぁ!」そんな風に組み立てているような気がしました。  なんて天才なのでしょう。未来が楽しみです。  

2024/12/27(金) おはな組を中心とするクリスマスページェント裏話 by ぱぱ

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その1「リハーサルは、たった2回だけ」  もちろん、個人練習としては、11月に入ってから、お歌の練習、11月半ばから、聖句やセリフのお稽古が、始まっていました。でも、全体の練習として、つまり、保育園で最も活動が活発になる、10時からの「ゴールデンタイム」を、自由遊びではなく、リハーサルに充てるのは、12月に入ってからの「たった2回だけ」なのです。  その理由は…  個人練習で、「できるように、なったつもり」のおはな組さん(年長児)が、1回目のリハーサルで、自分のできなささに開眼し、結果として、個人練習に熱が入るようになるのが、1回目のリハーサルのねらいです。この後、それぞれが、懸命に覚えていきます。このような頭の使い方ができるようになるのが、おはな組さんだと思います。  そして、みんなが懸命に覚えたものを確認し合うのが、2回目のリハーサルのねらいです。もう、みんな完璧! お友だちの分まで覚えちゃったりしています。これ以上やると、マンネリ感や、遊びたいけど遊べないという思いが、生じてしまうのですね。  3回目が、クリスマス会当日のページェントでした。インフルエンザや風邪が流行する中ではありましたが、みんな、それぞれのカラーで輝いていたと思います。  ここで、建築家のミース・ファン・デル・ローエの言葉を載せたいと思います。   Less is more 「少ない方が、かえって豊かだ」 その2「つぼみ組さん(4歳児)の宿屋さん」  宿屋さんは、1番、2番、3番と三つあり、それぞれの出番がありました。1番が登場して演じ、退場した後に、2番が登場して演じ、退場、同じように、3番が演じて退場するという具合に、お稽古をしていました。  ところが、クリスマス会の当日、つぼみ組さん13人のうち、7人の出席しかかないませんでした。お休みとなってしまった、つぼみ組のお友だちは、大変残念ながら、インフルエンザや風邪に感染してしまったのでした。  そこで、ままさんは、急遽、1番と2番の宿屋さんを一つにして、「1.2番宿屋さん」として演じるよう、つぼみ組さんに、お願いしました。さらに、途中の出入りは、しないように、口頭で伝えました。時間の関係で、「1.2番宿屋さん」としてのお稽古は、できない状況で、本番を迎えたのでした。  結果は、別途、ご案内している動画の通り、見事に「途中の出入りな...

2024/10/16(水) ポエムシリーズ byぱぱ

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 けんかっ早い○○くんが、クルマのおもちゃを手にして お友だちとドライブごっこを楽しんでる・・・ あっ!お友だちの車とぶつかっちゃった お友だちは「いてえ~」 するとすかさず○○くん、 「ごめんね。ぶつかっちゃった」 当事者になると、けんかになっちゃうのに 俯瞰者になると、けんかにならない 君は、本当は、「平和を愛する人」だって、よく分かったよ 未来が楽しみだ ごっこ遊びっていいね

2024/09/10(火) 今後のきまぐれコラムについて

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 その時々の世の中の事象と、私たちが一生懸命やっている保育の間に、何か共通点みたいなものがあったら、書きたいなと思って始めたのが、本コラムでした。  2015年5月から2019年8月の「旧 気まぐれコラム」は、71本の執筆でした。2019年9月からは、ブログ版「きまぐれコラム」としてリニューアルし、2024年9月で、やはり71本を書きました。71本と71本、合計142本ということで、何気に感慨深いものを感じています。もっとも、全てを私ぱぱさんが書いたのではなく、ままさん、うめさん、すけさんの執筆もありますが…。  まあ、「きまぐれ」とは言いながらも、コンスタントに「月1本」を貫いてきました。しかしながら、昨今では、長い文章を読み込むという習慣が薄れてきているようで、Webの影響か、短くてキャッチ―な表現でないと、あまり受け入れられないようです。  そこで、今後は、タイトル通り、「きまぐれ」でいきたいと思います。「月1本」にこだわらないで、真に「きまぐれ」に配信をしていきたいと思います。そして、新しい原稿がない月は、今までの142本の中から、比較的良いと思われるものを、アーカイブで配信できたらと思っています。  まあ、のんびりやらせてください。 ぱぱ