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2025/09/30(火) ぐじゅぐじゅの未熟が大事 by ぱぱ

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  2017年4月2日に掲載された、朝日新聞「折々のことば 子ども編」を載せます。すべてがキュートで詩的なので、そのまんまなぞりますね。   よのなかは 〈こども〉と〈もと こども〉で できている 富安陽子  元はみな子どもであった。どんな子どももいつかは元子どもになる。というか、人はおとなになっても内に子どもを宿している。どどっと感動する力、凄まじい好奇心と集中力、微細な変化を見逃さない感覚のアンテナは、芸術や科学に必要な資質でもある。干からびた成熟ではなく、ぐじゅぐじゅの未熟が大事。これが文化を突き動かす。 童話作家の絵本『もと こども』から。 鷲田清一  マルチタレントの大御所、御年67歳の「みうらじゅん」さんのことを、アナウンサーがラジオの中で紹介したとき、みうらじゅんさんは、「ちょっと間違いがあります。僕の年齢は、ご紹介の通り67歳ですが、そのあとに『児』をつけてください。『67歳児のみうらじゅん』が正しいです。」と語っていたのを思い出しました。  素晴らしい気づきだと思います。人は、おとなになっても、内に子どもを宿しているのですね。  言い方を変えれば、子どもは、内にも外にも子どもを宿しているのですから、実にぐじゅぐじゅです。保育園では、今日も、お昼過ぎ頃に、何が障ったのか、満身の力を込めて泣き続けている女の子がいました。制御不能な、その泣き方は、まあ、あっぱれ見事で、お友だちが、心配して近づこうとしていましたが、とんだとばっちりを受けたとか、受けなかったとか…。でも、大丈夫、その女の子は、体内のエネルギーを全て排出し、今は、スヤスヤと、ほとけ顔で、お休み中! 「ぐじゅぐじゅの未熟が大事。これが文化を突き動かす。」  さくらそう保育園にいる、未来の芸術家や科学者が、将来、才能という花を咲かせることができる、平和な世の中が続きますように…。

2025/09/02(火) 適材適所 by ぱぱ

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   先日、栃木県足柄市の「ココファーム&ワイナリー」という、ワインの醸造所に行き、とっても美味しいワインとお食事をいただきました。今回は、このワイナリーのお話をしたいと思います。  昭和30年代に、川田 曻さんという、中学校の特殊学級の先生が、当時の生徒たちと開墾した急斜面のぶどう畑が、ワイナリーのもとになっているそうで、平均斜度38度のこの葡萄畑は、陽あたりや水はけがよく、葡萄にとっては最良の条件なんだそうです。  しかし、斜度38度ということは、耕運機やトラクターが使えず、人間の足で登り降りするしかないことを意味します。剪定後の枝拾いや、堆肥の運び上げ、一房一房の摘房、そして、収穫した葡萄のコンテナ運び…。全ての作業が、自然の中での労働を通して、自らの力をつけ、その力をもとに、自然の恵みを引き出していくということでもありました。  そんな毎日の暮らしの中で、知的障害のある少年たちは、長い時間をかけて、知らず知らずのうちに、寡黙で実直な農夫に、陽に灼けた葡萄畑の頼もしい守護人に、醸造場のかけがえのない働き手になっていきました。  そのような方々が属する組織は、現在、「こころみ学園」という学校になっています。学園生は、100名以上ということで、ほとんどの方が、最重度のハンディキャップを持ち、約半数の方々が、高齢者ということでした。重い障害を持ちながら、また、高齢のために車椅子で過ごしながら、みんなが、何らかのかたちで、ワイン作りに携わっているそうです。  「ココファーム&ワイナリー」は、伝統や名声を誇る外国のシャトーのように、潤沢な資金を持つことができません。大手のワインメーカーのように、大量生産することもできません。 しかし、葡萄を育て、ワインを醸す仕事に、自分の名前さえ書けないような人たちが取り組んできたことを、どんなに辛くても、一年中空の下で、がんばってきた農夫たちがいることを、ひそかな誇りに思っていると思います。  学園生一人ひとりに、それぞれの能力に応じた仕事を見つけ、従事していただく、たとえ、それが草取りや、石拾いや、カラス追いであったとしても、その仕事をしながら、自然に囲まれながら、安心して年をとっていけたらいい、そんな願いも込められているとのことでした。  オールマイティを求められて、それに応えようと必死にもがいたものの、結局、苦しいだけで...