2022/09/01(木) 阿吽の呼吸 (ぱぱさん)
2022年8月22日、朝日新聞朝刊からの記事です。7月に行われた全国学力調査(小学6年生、中学3年生)の結果、正解率の高い児童生徒に共通する、2つの傾向について書かれていました。
一つは、「授業で課題解決に向け、自分で考えて取り組んでいたか」という質問に対し「当てはまる」と答えた児童生徒は正解率が高い傾向があるということでした。そしてもう一つは、「友達との話し合いを通じ、考えを深めたり広げたりできているか」という問いに対し「当てはまる」と答えた児童生徒は正解率が高いということでした。
何の遊びに取り組むか自ら考え実行していく中で、お友だちや保育者との関りを通して、試行錯誤を繰り返しつつ遊びを深め広げていく「自由遊び」は、学力の獲得と密接に連携しているのではないかと思います。
さくらそう保育園元郷の1階、0・1歳児さんは、基本、言葉少なで静かです。そして、めいめい自分の好きな遊びにひとりで没頭しています。2階の2・3歳児さんは、自己主張という方向性に於いて、ずいぶんと言葉数が増えてきます。基本的には、個人か2~3人の少人数で遊ぶことが多いようです。さて、そういった経験をたくさん積み重ねていくことにより、次のステージへと移行していきます。3階の4・5歳児さんでは、言葉はシャワーが降り注ぐように自在になります。自己主張だけではなく、時に相手の立場を考えた言動も見られるようになってきます。
「ぱぱさん、ちょっと(セロハン)テープはってほしいんだけど...」ある時、年長の女の子が助けを求めてきました。女の子は、二つの空き箱を両手で密着させて、その部分をテープで止めたいようです。ところが、彼女が片手を空き箱から離してテープを取ろうとすると、箱のバランスが崩れてしまう、そんな状況でした。「いいよ!」私が、あさっての方向を向いているテープカッターに手を伸ばそうとした時、なんと、その子は、唯一彼女の自由になる肘の部分を使って、テープカッターの位置と向き(角度)を、私がテープを引っ張って切りやすい角度になるように、さりげなく変えてくれたのです。
早くテープを切って貼って欲しい、そのためには、テープが切りやすくなるように、テープカッターの角度と調整した方が、効率よくテープを切ってもらえると、一瞬で考えたのでしょうか?ともあれ、相手のことを考えて、「阿吽の呼吸」で私に応えようとする彼女に、大きな育ちを感じたのでした。
要所を私が貼ると、「あとはじぶんでやる」と彼女が言ったので、今度は、彼女がテープを切りやすい角度になるように、私がさりげなくカッターの位置と角度を変えるのでした。
遊びの中で、考えを深めたり、それを広げたり...。そんな保育が展開されるといいなと思います。
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