2025/04/22(火) 不合理なことには距離を
毎度で恐縮ですが、2025年3月12日の朝日新聞朝刊から、ご紹介します。
我が子が、はじめて言葉を話した日から、はじめて嘘をついた日までの記録。精神科医、翻訳家の阿部 大樹さんの新著「now loading」(作品社)は、そんな区切りを設けて、つづられた育児日記です。「言葉で、やりとりが、できるようになると、書き記すこともできる」とスタート地点を決め、「真実だけではなく、うそについても、言葉で語れるようになった時、子どもは、うそのある世界、すなわち、大人と同じ世界に入って、生き始める」、「そこを終わりとしてみよう。」と思ったそうです。さすが精神科医、この切り取り方は、とてもシャープですね。阿部さんは、「うそのある世界は、大人の世界」と定義付けました。確かに、私たち大人は、人を利用したり、虚勢を張ったり、秘密保持を目的としたりして、うそをつきます。また時には、人に対して、相手を傷つけないように、おもんぱかる配慮の結果として、うそをつきます。結局、あとでばれて、気まずい思いを体験するのですが…。「はじめてのうそは、いつ?」というのは、とても興味深いテーマだと思います。
阿部さんのお子さんが、2023年1月29日、1歳3カ月で、初めてしゃべったのは、「バイバイ」という言葉でした。そして、同じ年の12月20日、おもちゃを探していたお子さんが、実際にはあるのに、「なかった!」と、うそをついたのです。それは、2歳2カ月になった時でした。「語彙が増えて、文法を習得してから、うそをつく」と思っていたので、「早いなあ。」と感じたそうです。
その11か月の間に、「ある」より「ない」を、「わかる」より「わからない」を先に覚え、何かにつけて「やだ」と拒否するようになったのです。阿部さんは、「大きくなったら、不合理なことには距離を置ける、自由な人になってほしい」と考え、物事を否定する我が子を肯定し、エールを送っています。
幸いなことに、さくらそう保育園の園児さんは、みんな「やだ」の天才なので、「不合理なことには距離を置く、自由な人」だと断言できます。保育士さんが、「給食だから、お部屋に入ってください。」と言っても、軽く一蹴して、「やだぁ!」 でも、私が、「じゃあ、○○ちゃんの給食、ぱぱさんが食べちゃおうかなあ。」と言うと、「やだ~。」と言いながら、お部屋に走っていきます。
お後が、よろしいようで…。
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