2023/06/01(木) 座談会 #2 [保育で大切なこと]

(ぱぱ)
 「まだ、ことばのやり取りができない、0・1・2歳児のお子さんに対して、その子の思いをどうやって受容していくのか、寄り添っていくのか」について、考えていきたいと思います。
 今度は、すけさんに質問します。すけさんは、子どもの思いをくみ取りたいのに、なかなかできなくて困ったことはありませんか?

(すけ)
 やはり、言葉の聞き取りでしょうか。特に、1歳から2歳の話し始めの頃になると、一生懸命伝えようと話してくれているのに、何と言っているのか聞き取れない、そんなことがあります。

 例えば、1歳児クラスの男児に、「ぼく」と言われた時の事です。「自分(ぼく)に対して、何かして欲しいことがあるのかな?」と思い、「どうしたの?」と聞いたのですが、「ぼく!」と言うばかりだったのです。何度聞いても、「ぼく!」と言うだけで、そのうち、伝わらないことに「むーーー!」と怒ってしまいました。「『ぼく』の意味するところが、違うのかな?」とも思ったのですが、いくら考えても「ぼく」の意味は分かりません。
 そこで、ちょっと落ち着いてから、もう一度聞いてみようと、その子を抱っこしながら、部屋の中を歩き回ってみました。すると、その子が、また「ぼく!」と言って、何かを指さしたのです。その先を見ると、そこにあったのは、なんと「ブロック!!!」。そのブロックは、彼からは見えない位置に置いてあったので、抱っこするまでは、どこにあるのか分からなかったようです。ブロックと分かってから、あらためて聞いてみると、「ぼ」の発音も「ぶぉ」になっていましたし、「ぼ」と「く」の間には、小さな「っ」があったような気もしてきたのです。

 そんな言葉の聞き取りで、悩んでしまうことが、多々あります。特に、話が成り立つようになったばかりの頃だと、こちらが聞き取れないことに対してのイライラが、手に取るように分かるので、辛いところです。そこで、「この子と、こんなことを話した」など、スタッフ同士で共有や相談をして、少しでも多くの思いを受け止められるように努めています。

(ぱぱ)
 保育に携わる者として、大切な視点が語られていると感じました。それは、「『ぼく』の意味するところが、違うのかな?」と感じる心を持つことだと思います。そこには、愛がありますね。小さな一言を聞き流さないで、推察していく姿勢は、「寄り添っていく保育」そのものだと思います。「良い保育士は、良い探偵でもある」とも言えそうです。


 では、次は、うめさん、子どもの思いをくみ取るという視点で、自由に語っていただけたらと思います。

(次回につづく...)

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