2023/09/01(金) [大噴火] (座談会シリーズ #5)

 (すけ)
 日々、子ども達の熱い思いが溢れる保育室の中ですので、頭を悩ませることは沢山あります。
 2023年度が始まってから、早5ヵ月、子ども達も現在の環境に慣れて、自らの熱い思いを出せるようになってきたことで、子ども同士で、ぶつかりあうことが、あるのです。

(ぱぱ)
 ぶつかりあう原因は、何でしょうか?
 おもちゃの取り合いでしょうか?

(すけ)
 そうですね。車のおもちゃ、とりわけパトカー、それからソフトブロックや、おままごとで使う人形などで、取り合いになることが多いようです。特に、2歳さんの思いと言ったら、大噴火級です。一触即発な雰囲気になることも、しばしばです。
 例えば、Aちゃんが「Bちゃんに、パトカーを取られたー!!」と怒って、それを取り返そうと、Bちゃんとの引っ張りっこが始まります。
 よくよく事情を聞いてみると、「パトカーは、あそこに一時停車していただけ」、すなわち、一見、誰も使っていないように見えるけど、「Aちゃんとパトカーは見えない糸でつながっていた」ということだったのです。
 一方、Bちゃんには「見えない糸」は見えないので、「そこにパトカーが置いてあったから、自分の所有にした!!」ということですね。Bちゃんから見たら、しごく真っ当なご意見です。
 そうして、二人の取っ組み合いが始まり、それはもう燃え上がるのです。

(ぱぱ)
 どちらも正論、悪くないですよね。

(すけ)
 Aちゃんにすれば、「ちょっと置いておいただけなんだから」という思い、取られて辛い気持ち…。
 Bちゃんにすれば、欲しい気持ち、「置いてあったから、拾ったんだよ」という思い…。
 「こうするのが正しい!」と、大人の意見を押し付けて、采配してしまっては、子ども達の思いに添えない上に、成長するチャンスをも奪ってしまう事になるので、「こうすればいいのに!」と、もどかしい思いを抱えつつも、子ども達の成長を願いながら、大噴火からの衝突に備えて、見守っています。

(ぱぱ)
 大人による一方的な采配は、事実をゆがめることに、なりかねませんので、「極力しない」というのは、賛成です。ただ、大噴火中でも、「顔への攻撃は、なし」、「噛むのは、なし」等、保育士がレフェリー役をすることは、必要かもしれませんね。

(すけ)
 そうですね。レフェリーさながら、危険な時は止められるように、傍らに控えています。

(ぱぱ)
 また、いざこざが、おさまったら、「AちゃんにBちゃんの気持ちを伝え、BちゃんにAちゃんの気持ちを伝える」ということは、大切でしょう。「お友だちは、こういう思いなんだね」と…。あるいは、すけさんの「こうすればいいのに!」という思いを、率直に提案してみても、いいと思います。

(すけ)
 そうですね。状況によっては提案してみて、「どう思う?」と、投げかけをすることもあります。
 そんな訳で、日々、悪戦苦闘していますが、「けんかは、いけません」と、すぐに止めてしまうのではなく、けんかを通して、人の痛みを学び、力で解決するだけではなく、よりよい方法を考えていけるように、援助していきたいと思います。

(ぱぱ)
 賛成です。すけさん、ありがとうございました。

(なお)
 突然すみません。元郷園で4.5歳児を担当している、なおです。頭を悩ませていることつながりで、子どもたちの中で今流行している「どこでもバリア」のお話をしてもよろしいでしょうか?

(ぱぱ)
 飛び入り大歓迎です! どうぞお話しください。

(続く)

 

* 東領家園、朝日園の保護者のみなさまへ
 小規模保育の園では、0~2歳のお子さまを、お預かりしていますが、卒園後は、みなさん、認可園で、3~5歳の幼児クラスに入ることと思います。
 このため、このコラムでは、幼児クラスでの様子や、少し大きい、お子さまに対しての保育観等、より幅広いテーマを、あつかっていきたいと考えています。
 成長した、お子さまの姿を想像しながら、いっしょに楽しんでいただけたら幸いです。

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