2025/10/30(木) 猫と子ども by ぱぱ
著書「バカの壁」がベストセラーになった、解剖学者の養老孟子先生のYouTubeが面白いので、ご紹介したいと思います。
【養老孟司】愛猫の「まる」が死にました。
その悲しさと寂しさを養老先生がお話します。
飼い猫の「マル」のことを話題にしていますが、猫と子どもの共通点ということで、子どものことを、こんな風に語っています。
「子どもは、赤ちゃんを見れば分かりますけど、完全に自然状態で生まれてくる。それを人の社会に適応させていくわけで、それを教育って言ってはいるけど、そこのところで、人の社会の方に徹底的に適応させるかどうかっていうのは、悩ましいところですね…。」
教育を一言で言い表していて、すごいと思いました。養老先生は、自然と人工の境目に興味を持っておられるようです。そして、人工である、人の社会の方に徹底的に適応させることへの危惧を感じています。
「社会での成功っていう意味でいうと、小さい時から人の社会にならしていく方が有利ですよね。でも、本人の幸せという点からいうと、どうなのかなぁ。いくら成功しても、最終的には、やっぱり年を取りますし、そうなってくると、自然に対する心構えみたいなものが、どうしても必要になってくる…。」
社会での成功といった側面と、本人の幸せといった側面と、ふたつの考え方があり、前者は「人工」を優先することになるのだろうが、後者は「自然」を選択することになるのではないかと述べています。そして、後者のことも、もう少し大切にした方がいいのではないかという提案が、透けて見えてきます。
「子どもが幸せ感じるのは、どういう時かって、やっぱり、それ程束縛されないで、自由に遊んでいる方が、幸せに違いない…。」
その通りだと思います。好きな遊びに夢中になっている子どもの姿は、とても美しいと思います。
「子どもは、すでに、ただ今現在、幸せかどうかってことが、ものすごくはっきり分かる。加えて、子どもは、わざわざ、不幸せな方向へ行くようなことはしない。でも、大人は、『辛い時でも、辛抱すれば、後でいいことがあるから…』みたいな教え方をするから、大人になると、つい頑張っちゃうんですよね。大人は、『みんなで、適当なところで、やめておこうよ』っていうのは、なかなかできない、難しい。一方、子どもっていうのは、具合が悪くなると、消えちゃうんですよね…。」
素晴らしい示唆です。先日も、みんなで好きなブロック遊びに夢中になっている最中に、細かい部品がたくさん入っている箱をテーブルから床に落としてしまい、床一面に部品が溢れかえってしまったことがありました。その時の具合の悪さで、次の瞬間の子どもたちの逃げ足の速いこと!
また、「大人は、『みんなで、適当なところで、やめておこうよ』っていうことが、なかなかできない」ということの延長線上に、「戦争」があるように思えてなりません。今こそ、「逃げる」ことの有用性を、世に問いかける必要があるのではないかと思いました。
「子どもが、幸せな時間を過ごすっていうことは、人生の中の子ども時代において、とても大切ではないかということを、今の大人は考えに入れているのでしょうか? たぶん、大人になってから、いずれ、そういうものが手に入るという考え方で、やっているんだと思いますけど…。」
さくらそう保育園では、そこに着目しています。幼児期に、幸せな時間を送って欲しいと願って、遊びを中心とした自由保育(お子さんの主体的な活動)こそが大切と、説いています。
「その時の自分の状況によって、あえて消える。そして、一番気持ちいいところへ行って、ひなたぼっこをしながらゴロンとする。それができれば、いいなって思うんですよね…。」
養老孟子先生は、猫のようです。

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